任意整理とは

【任意整理とは】

「任意整理」とは、取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算すること(引き直し計算)により借金を減額した上で、原則として金利をカットし、元本のみを3年程度の分割で返済する内容の和解を貸金業者と結び、以後この和解内容に従って返済を続けることで、借金を整理する手続きです。

任意整理の和解交渉は、弁護士・司法書士が代理人となって行います。

任意整理をすると、原則として取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算すること(引き直し計算)で減額された元本のみを分割して返済すればよく、将来の金利や遅延損害金を返済する必要がなくなります。また、月々の返済額も、生活に支障のない範囲に減額することが可能です。

【任意整理の手順】

①利息制限法の上限金利への引き直し計算

貸金業者から開示された取引履歴をもとに、上限金利(15~20%)に基づく引き直し計算を行い、借金の額を確定します。

②和解交渉

和解案を提示し、貸金業者と和解内容について交渉します。確定すると、和解内容を確認するため合意書を作成します。

③和解に基づく支払開始

合意書で確認された和解内容に基づき、毎月貸金業者の指定する口座に分割金を振込みます。

 

任意整理で借金の総額が減額される仕組み

【二つの法律が関係しています】

金利の上限を定めている「利息制限法」と「出資法」という2つの法律が関係しています。利息制限法では金利の上限を15~20%と定めています。利息制限法の上限を超えた金利を定めても、超えた部分の定めは法律上無効となるとされています。一方、改正貸金業法が完全施行される以前の出資法では、刑事罰の対象となる金利の上限を定めています。出資法は上限金利が29.2%とされており、29.2%を超えた金利を設定している場合には、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれを併科する」という刑事罰が科せられていました。つまり、利息制限法の上限金利を超えて設定しても、出資法の上限金利を超えなければ刑事罰は科せられなかったということになります。このように、利息制限法と出資法の上限金利の間の金利は、民法上は無効にもかかわらず刑事罰は科せられない「灰色の金利(グレーゾーン金利)」と呼ばれていました。貸金業者は、この「グレーゾーン金利」による違法な金利を取っていたのです。

任意整理では、取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算し(引き直し計算)、返済し過ぎていた金利分を元本に充当させ、法律上返済しなければならない「本当の借金の額」を明らかにします。原則としてこの引き直し計算後の元本のみを分割返済していくことになります。そのため、任意整理をすると、これまで返済し過ぎていた「グレーゾーン金利」に相当する金額が減額されることになるのです。

【過払い金が発生しているかも】

これまで返済してきた「グレーゾーン金利」に相当する金額を借金の元本に充当すると、すでに元本を超えて返済している場合があります。この返済し過ぎたお金のことを「過払い金」といいます。「過払い金」が発生している場合には、貸金業者に過払い金の返還請求ができます。 過払い金の調査は債務整理・自己破産などのついでに調査しています。過払い金が発生していれば、債務整理や自己破産の諸費用に過払い金を充てることができるかもしれません。

詳しくは過払い金請求のページをご覧ください。